都市伝説じゃない。
本当にあった 新薬治験モニター(実験台)
きっかけは、ヒマつぶしのパソコンでの
アンケートサイトだ。
健康をテーマにしたアンケートの回答が、
どうやら企業の求める人間像と合致し、
電話で治験の依頼が来た。
電話をしてきたのは、
仲介業者っぽい女性だった。
この時点では、何の薬を使用するのか、
具体的な説明は無かった。
場所と、期間と、報酬の話だけだった。
なお、治験モニターはとは、
あくまでもボランティア扱いのため、
もらえるお金に関しては
給料・報酬という言葉は使われず、
謝礼・協力費という形式で支払われる。
いずれにしても、確実に
お金はもらえるので、見方によっては
一種のバイトと捉えることもできる。
2泊3日を2回と謳っているが、
事前検診という名の審査があるため、
実質は、計7日拘束である。
上記のように、
最低3回は病院へ行く必要がある。
なお、謝礼(協力費)85000円は、
分割で払われる。
事前検診で、まず、3000円手渡し。
次回、1回目入院終了時、
10000円手渡し。
さらに次回、2回目入院終了時、
10000円手渡し。
全工程終了、数日後、
62000円銀行振込、
または、直接取りに行く、
といった感じだ。
交通費は協力費に「込み」
という設定である。(実質、出ない。)
治験モニター 体験談
ドキュメント開始
今回の治験の概要はこうだ。
(事実を元にして再構成)
場所は上大岡(仮名)、とある病院。
まず事前検診という事で、
1回通院しなくてはならない。
簡単な健康診断を受けるのだ。
(日帰り)
事前検診で ふるい落とし
不健康な方は参加できません
実際に参加してみると、若い男性が多い。
40名くらい集まっている。
大学生や、フリーター、
中年の自営業店主らしき人もいる。
なるほど、金に困ってそうな方ばかりだ。
院内はキレイで清潔感もある。
スタッフも、テキパキ動き、声も大きく、
現時点では好感が持てる。
ここで初めて、使う薬の説明がある。だが、
全員が参加できるわけではない
ここで、モニターの選抜を開始する。
初回のこの事前検診で、
肥満値・採血・採尿・心電図などを測定。
治験候補生のデータが全て数値化され、
上から順にランク付けされる。
つまり、
健康体に近い人間から、採用となる。
しかし、この後、この優勝候補の男に、
意外な結末が!!
2日酔い・ヘビースモーカーなどは、
健康体の数値から 遠く離れているため、
医者には、たやすく見破られる。
無論、不摂生な者は、
治験には参加できない。
波乱続きの治験モニター、
一体どうなってしまうのか!?
健康体の順位から、3グループに
振り分けられる。
@正規入所決定者
健康な数値 上位30名
A入所待機者
次点 5名(@が欠員時の、代打要員。)
B審査落ち
不健康な方は全員落ちます。
なお、この事前検診では、
@、A、B全ての方が、
協力費3000円を手渡しで貰える。
「来てくれてありがとう費」
のようなものである。
(ほぼ、交通費で消滅するが)
@の人は合格確定。
Aも、審査は通過。
Bは、失格。ここでお別れ。
これで、晴れて、治験参加が許可される。
この日は、これで一旦、解散となる。
いよいよ入所(入院)
一回目の2泊3日
入所3日前から、
飲酒・喫煙・激しい運動は禁止
となっている。
採血時の、データに影響するようである。
逆に言うと、不摂生は採血時にバレる。
期待されるデータと大幅にずれると、
不合格となり、途中退場となる。
(以後の協力費は無し。)
持ち物は、スリッパ・コップ、
歯磨きセット、着替え、くらいで、
荷物は比較的少なくて済む。
なお、忘れると、
病院内で買わされるので、気をつけよう。
当日、来院前に、駅などで、
お小水(トイレ小)を済ませ、
水500_を飲んでくるよう指示がある。
これは、後の、尿検査のためか。
病院の近くまで行くと、
何人かの人が、路上で喫煙をしている。
見たことある顔だと思ったら、
前回の事前検診でのメンツである。
おそらく、これから3日間、
一本も吸えない環境となるため、
最後に吸っておこうというのだろう。
ただし、全員無言。
一切のコミュニケーション無し。
属性的に、「コミュ力」は皆無。
@とAの人は全員、病院に集合する。
@が全員参加しているのが確認された場合、
代打要員のAは帰宅する。
もし、@の人が遅刻・辞退などで、
病院にいない場合、Aが@に繰り上がる。
それ以外の、帰宅が決定したAは、
10000円の協力費をもらって帰宅
(お役御免)する。
@の人と、
繰り上がってAから@に昇格した人は、
入院決定である。
荷物を置いたら、
再び、採血・採尿・心電図などを測定。
このデータは、明日使う。
明日の、薬投与の直前に、
最後のふるい落としがある。
本日の測定後は、終日、自由時間である。
自由時間が7時間ほどある。
自由時間と言っても、当然、制約だらけだ。
入院期間、外出禁止。禁煙。間食禁止。
病院スタッフに監視されているため、
勝手な行動は、全て封じられる。
厳重な監視をしないと、
ルールを破る人が出てくるからである。
トイレの個室などの密室は、
喫煙の温床となるため、警護が厚い。
そのため、
プライバシーが無い事が多々ある。
飲み物は、指定の水か麦茶に限定される。
ただ、幸いにも、
マンガ本が、山のようにあり、
2泊3日程度なら、ヒマは十分潰せる。
若い男性が好きそうなタイトルが、
ひととおり揃っている。例として、
ワンピース、ドラゴンボール、男塾、
キン肉マン、クローズ、ワースト、
ドカベンプロ野球編、湘南純愛組、夜王、
ドラゴン桜、ドラゴンヘッド、
カイジ、あずみ、蒼天の拳、
などなど、
男心をつかんでいるチョイスである。
ただし、完結まで揃ってないものが多い。
それでも8割くらいまでは、揃っている。
ベットで寝転んで、
何時間もマンガをひたすら読破できるのだ。
部屋は6人部屋。就寝時以外は、
仕切りのカーテン無し。
(プライバシー無し)。
呼ばれた時だけ、
集合場所に行くだけである。
また、無線LAN環境が整っており、
ノートパソコンを持参すれば、
ベットの上で、インターネットもできる。
無線LAN内臓じゃない場合、子機も持参。
パスワードは、病院で教えてくれる。
しかしながら、昨今は、スマホの普及で、
PC持込者は少ない。
雰囲気は、
ネットカフェにいるような感覚で、
インドア派にとっては、心地よい。(快感)
1日目は、ほとんど寝てるだけなので
パラダイスである。
夕飯は食堂へ行き、病院食
(例としてハンバーグ)などが出てくる。
せまい食堂に、約30人全員揃うと、
とても狭い。
テレビが唯一ある部屋でもある。
互いに他人同士のため、終始無言である。
入所者の顔ぶれを見れば納得だが、
コミュ力がある人が、いるはずもない。
しかしながら、むしろ、
自分の殻に閉じこもりたい人が多いため、
逆に心地よい空間となる。
これで85000円もらえると思うと、
ごきげんになるが、
次の日に、ごきげんは終了する。
やはり、おいしいだけじゃない!!
会場は修羅場!!報酬の代償が!!
入院2日目の早朝、
先日・当日の測定データを元に、
薬を実際に投与する方を選抜する。
要するに、直前まで健康な方のみが
必要とされているのである。
ここで、新たに順位を付けられ、
2グループに振り分けられる。
@薬投与決定者 上位24名
A薬投与待機者 次点 6名
(@の代打要員)
決定後、
9時に治験スタート。@に、薬投与。
(朝食は無し。昼食まで飲水禁止)
@が全員、無事に、薬投与終了すれば、
Aは用済みで帰宅。(お役御免)
Aは、10000円もらって帰宅となる。
@に選ばれ、誇らしげに、Aを見送る。
優越感に浸っていると、とんでもない!!
ここから修羅場
薬がどのように作用しているかを
確認する方法として、採血を採用。
要は注射みたいなもの。
針を刺されて、血を吸い取られる。
別に、大人だし、
大した事ではないように見える。しかし、
回数がハンパない
9時00分 薬 投与
9時15分 採血
9時30分 採血
9時45分 採血
10時00分 採血
序盤は、15分おきに、注射され、
容赦なく血を抜かれる。
みんなで、輪になって、
2箇所の採血場をグルグル回るのだ。
採血し、止血バンドをした時点で、
次の採血列の最後尾に並ぶような感じだ。
みんな、注射器を見ただけで、
おじけづいている。
大人になっても、怖いモノは怖い。
ここで、カルロスが貫禄を見せれば、
他の治験者たちに勇気を与え、
みんなの心が、一丸となるッ!!
米国の意地 見せてくれ!!
ちなみに、注射にも、
「上手い・ヘタ」があって、
ヘタな人が注射すると、
ものすごく痛い
ベテランの看護婦さんであれば、
ここに刺せば痛くないという場所を
一瞬で見極められるため、痛くない。
しかしながら、
カワイくて若い看護婦さんの場合、
経験が浅いため、痛い事が多い。
針を刺してから、血管を探すという、
いわゆる暴挙に出てしまう。
前の人が恐怖している姿を見ると、
後続の人は、さらに恐ろしくなる。
痛いと叫ぶ人もいれば、
痛いと笑う人もいる。
その人の笑い方によっては、
とんでもない事になる。
特に、裏声の「アヒィー」は、
室内に良く響くため、大音量となる。
最後尾付近の人からは、
採血中の人の姿は見えないため、
さまざまな奇声だけが聞こえてきて、
ものすごく怖くなる。
ただし、ベテランの看護婦さんの時は、
採血が上手いため、痛くない。
しかしながら、
1回でも苦痛な採血を、
一時間のうちに4回という、
超ハイペースな波状攻撃のため、
やがて、全員グッタリしてくる。
これでも まだ前半戦!!
まだまだ先は長い!!
あまつさえ、自分の血が
ドクドク吸い取られている場面を
間近で何度も見るのは、
視覚的に、かなり気持ち悪い。
こういう時は、意外にも、
不健康そうな顔をしている人の方が
ピンピンしている事が多い。
その後は、30分おきに採血となる。
10時30分 採血(5回目)
11時00分 採血(6回目)
傷が多くなってきて、
針の痛さを強く感じるようになってくる。
先に打った箇所が少し腫れてきている。
その付近に、さらにブチ込むのだから、
そりゃ痛い。
男性は特に、
血を見るのが苦手な生き物である。
ただでさえ、
朝食抜きでフラフラしているのに、
自分の血を抜かれているシーンを、
ハイペースで何度も見せられ、ついに
貧血で倒れる方も出現
院内が騒然となる。
医者、看護婦は慣れた様子で、
迅速に処置する。
打つ時が痛いのであって、
打ってしまえば何でもないのだが、
もはや、精神的な戦いとなる。
こんなに血を抜かれて大丈夫か?
という不安が、余計に体調をくずす。
後半は1時間に1回と、
採血の間隔が広くなってくる。だから、
ここで、やっと部屋に戻れる。
(マンガが読める。)
時間になったら(呼ばれたら)、
再び採血場へ向かう。
12時00分 採血(7回目)
13時00分 採血(8回目)
ここでやっと昼食。カレーなど。
ここで山場は越えた感じ。
だが、このあたりになると(一息つくと)、
気の緩みからか、
ルールを破る者が出てくる。
もちろん、病院側の警備は万全のため、
あえなく。バレる。
吸っちゃうと、血液中の数値が
大幅に乱れるため、使い物にならない。
どうあがいても、役に立たないため、
イスに座ったまま、強制退去となる。
イスに座ったまま、スタッフに担がれ
強制退場となる。
神輿(みこし)やないねんから!!
これが、彼の最期の言葉であった。
世乃中 金太クン 失格
失格の場合、謝礼・協力費はもらえない。
(8回分の採血が、パア)
15時00分 採血(9回目)
このあたりから、だいぶ余裕が生まれる。
17時00分 採血(10回目)
19時に夕食。しゃぶしゃぶ風サラダなど。
肉が硬いのが残念。
21時00分 採血(11回目)
22時に消灯。
一生分の注射をした気分である。
しかも、何度針を刺されても、慣れない。
その都度、緊張するし、いちいち痛い。
回数を増すごとに、
痛さが増してくる気がする。
両腕の肘が、注射の傷だらけになる。
すぐに完治するのだが、
見た目が犯罪者っぽい。
やはり、楽して金はもらえないと、
強く感じる、なかなかの苦痛である。
3日目 退院日は消化試合
7時に起床。採尿・採血、
医者の診察を経て、10時頃、解散。
思った以上に早く終る。
帰り際に、10000円を手渡しでもらう。
これで解散となるが、突然
みんな、ダッシュで病院を出る。
考えは、みんな一緒である。
プハーッ!!
3日間我慢し、さらに、
解放された瞬間に吸う1本は、
さぞ、至福のひとときであろう。
ところで、ほとんどの人が
半分忘れかけているが、
来週 もう1回
同じ事をするのだ
2泊3日を
2回やります
薬の投与について
今回、薬投与の次点で24名参加し、
1班と、2班に分けられる。
1班
Aの薬を投与(すでに市販されている薬)
2班
Bの薬を投与(これから治験される薬)
(いわゆる後発医薬品・ジェネリック)
AとBは、同じ成分の薬である。
したがって、
AとBは、体内で、
全く同じ作用をしなければならない。
それを証明するデータを取るのが
今回の治験の目的である。
投与から一週間後、
(薬の効果が抜けてから)、
互いに、もう一方の薬を投与。
1班
Bの薬を投与(これから治験される薬)
(いわゆる後発医薬品・ジェネリック)
2班
Aの薬を投与(すでに市販されている薬)
そういうわけで、2泊3日の入院を、
2回しなければならないのだ。
前回と同じ条件、同じ食事、
同じ採血時間・回数。
あの修羅場を、もう1ラウンドする
のである。
やはり、心と体に、
なかなかの負担がかかる。
拘束時間も長くなる。
だから、高額報酬にしないと、
誰も参加しないのだろうか。
全日程終了後、2〜3日してから、
残金が振り込まれる。
今まで、チマチマもらってきたが、
トータルで、85000円となる残金、
62000円が、
最後にまとめて支払われる。
事前検診終了時 3000円
2泊3日 1回目終了時 10000円
2泊3日 2回目終了時 10000円
残金 62000円
もちろん、途中で脱落した方には、
後半の報酬は発生しない。
最後に 体験してみての総括
個人の感想としては、
新薬治験(実験台) =
薬の副作用が怖いイメージ
ではない。
新薬治験(実験台) =
採血注射の乱れうちが怖くて、痛い
であった。
今回に関しては、薬の副作用など、
微塵も感じない人がほとんどであった。
(もちろん 人による)
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