敵を知るには まず味方を知れ 華やかな世界の裏側はクセ者揃い
アシスタントはつらいよ
たくさんいる美容師さん
どんな人がいるの?
美容室にはいろんなタイプが存在する 親族経営は波乱の予感
美容室のスタッフの構成
先生
いわゆる経営者である。地方では、年配の女性が経営している店舗が多い。
美容業界では、店舗の最高責任者を、先生と呼ぶのが風習である。
(ちなみに、先生の親が現役の場合、「大先生(おおせんせい)」と呼ぶ場合がある。)
美容関連の協会の役員を務めている事が多い。
本気になれば、さすがに技術は超1流である。
日本髪・夜会などの、クラシック(古風で伝統的かつ先進的)な髪のセットと得意としている。
一線は退いているものの、自分の指名客が多くいる為、週に3〜4日は出勤する。
自分の指名客は、他人には譲らない。ただし、息子がいる場合、息子に回したりする。
指名客の予約が無い日は、用事がない限り出勤しない。
朝礼後に出勤し、自分のお客様を仕上げると、一緒に食事に行ってしまい、音信不通となる。
「こだわり」や「向上心」は、すでに失っており、いかに効率よく金を稼ぐかを念頭に置く。
年配の経営者が多く、体力は衰えている為、シャンプーは必ず若手にやらせる。
なにもできない新人に、自分のお客様のシャンプーをやらせるなど、ムチャぶりが多い。
基本的に、カット以外は、誰かに手伝って欲しいと思っている。
一線を退いた後は、不動産などでサイドビジネスを展開している人も多い。
美容以外でも博学である。
店舗に「店長」を置き、全ての管理は店長に任せる。
店長
雇われている従業員の中のトップの人は、「店長」という店舗責任者を任される。
古参のベテランで、店舗の売上の30%を1人で作り出すスーパースターである。
大抵、男性が店長を務めている。
自分の技術に対し、「こだわり」と「スピード」を両立させ、
先生を凌ぐクオリティを誇る。素人が見ても、高い技術に感銘を受ける。
とりわけ、「こだわり」に「こだわっている」ため、
後輩の指導には、とても厳しい。(特に挨拶・態度など)
自身の指名客があまりにも多すぎて、必ずアシスタントによるヘルプが必須となる。
態度の悪いアシスタントには、どんなに店が忙しくても、どんなに指名客を待たせてでも、
「一切、仕事を任せない」という制裁措置を取り、体で覚えさせる。
「不心得者に、お客様を触らせるわけにはいかない」という信念と責任感がある。
時として、指導と私怨を混同してしまう節(ふし)がある。
年配から若者まで、オールジャンルのお客様に対応できる。
クラシックな髪のセットも、先生と同等以上のレベルであり、
「先生がいない時は、店長にお願いするわ」というお客様が多数いる。
店長と、他のスタイリストの実力差が、天と地ほど離れているというのが店舗の悩みであり、
次代の店長候補を育て上げるのが、現店長の至上命令となる。
先生の息子
先生に子供がいると、高い確率で後継者となる。
最初は、他のオシャレな美容室に就職し、スタイリストになった頃、
先生の店に、いきなり幹部候補として、編入してくるパターンが極めて多い。
しかし、次期経営者になるためには、まだまだヒヨッコなので、
向こう10年は、店長の下に付く事となる。
ただし、他のスタイリストとは、完全に別格扱いである。
2世がいると、親(先生)からの、露骨なえこひいきが常習化され、
同年代のスタイリストたちからの反感を買う事となり、
無益な退職の原因となる事が多い。
接客は上手である場合が多いが、大抵、実力が伴っていない。
総合的な実力は、当該店舗の3年目アシスタントリーダーと同等である。
通常、その実力では、お客様を担当できるはずはないのだが、
先生の息子というブランドが絶対正義であり、優先的に担当者となる。
若いお客様のセットは得意とするものの、年配のお客様の場合、経験が絶対的に少なく、
しばしば醜態をさらす事がある。(見かねた店長が、最初からやり直すなど)
先生がいる日は、必ず先生のフォローが入るので、トラブルにはならない。
「一定のレベルに達するまで、お客様には触らせない」という店長の信念に、
180度反しているため、当然、店長からは敵視される。(気に入らない)
しかしながら、所詮、先生の配下にすぎない店長では、手を出せるわけもなく、放置となる。
店長は、自分のヘルプに、先生の息子は決して選ばない。
先生の息子も、察しており、店長のヘルプには決して付かない。
ただし、休憩中などに、簡単な世間話程度はする。
ピッコロとベジータのような、微妙な関係である。
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スタイリスト
一応、オールジャンルのお客様に対応できるが、皆それぞれ、致命的な弱点を1つ以上持つ。
お客様と話が続かない者、技術レベルが低い者、スピードが無い者、
異常に汗っかきな者、性格がひねくれている者など。
手ごわいお客様相手だと、苦戦を強いられる。
アシスタントに、シャンプーやカラー、簡単なカットなどを教える役割を持つ。
スタイリスト自身も、高度なカット技術などを、店長から教わっている。
スタイリストたちは、厳しい店長の制裁処置に耐えてきた連中であり、
精神面では、1本芯が通っている。
「自分がされて嫌だった事は後輩にしたくない」と、仏のスタイリストがいる一方、
みごとに店長をコピーし、修羅のようなスタイリストもいる。
指名客の数が明瞭なステータスとなり、決して年功序列ではない。
ベテランなのに指名客が少ない人は、
経営者からしてみれば、ジュニアスタイリスト(カットデビューしたばかり)扱いとなる。
アシスタントからも、後ろ指を指される事がある。
実力・人気共にあるスター選手は、店長の座に近づく前に、
都内有名サロンへ挑戦、または、独立してしまう。
そのため、当該店舗には、スター選手はがいない状態が長年続く状態となる。
アシスタント
先輩方のヘルプ(お手伝い)をして、スキルアップしていく「修行中」である。
お客様が来店すれば、「必ず手伝わせてもらえる」と勘違いしている者が非常に多い。
先輩からしてみれば、「させてやっている」である。
必ずしも、後輩に「仕事を分けてあげなければならない」という訳ではない。
「仕事を分ける」というのは、「給料を分ける」のと同じ事である。
後輩に、自分のお客様のシャンプーをさせてあげた場合、
シャンプー代金分の給料は、自分ではなく後輩の物となる。
そのシャンプーで、技術的なクレームがあった場合、任せた先輩の責任である。
そんなリスクだらけな条件でも、なぜ後輩に仕事を与えるのか。
それは、自分達もそうやって育ってきたからである。いわば伝統行事なのだ。
したがって、アシスタントは、仕事を「させてもらえる事」に感謝しなければならない。
「先輩。手伝いましょうか?」ではなく、「手伝わせてもらえませんか?」が、
正しい心構えである。これができないアシスタントが、とても多いのが事実である。
そういう些細な心配りができるアシスタントは、先輩方にとかく気に入られ
仕事(上達のチャンス)が非常に多く回ってくる。
それがそのままお客様に伝わり、シャンプーの指名をもらったりする。
アシスタントは、お客様や先輩方に食べさせてもらっている事を肝に銘じておく必要がある。
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